江守徹氏インタビュー chpter1
江守徹氏インタビュー chpter2へ
江守徹氏インタビュー chpter3へ
江守徹氏インタビュー chpter4へ
江守徹氏インタビュー chpter5へ
江守徹氏インタビュー chpter6へ

日本語訳「ハリー・ポッター」は
松岡さんの日本語力で読み手にクリアに響き伝わる


翻訳は英語力というより日本語力が問われる作業。私自身、芝居の翻訳をしますが、物語全体の内容、意味、雰囲気など全てを感じ取っていなければできない本当に難しいことなんです。翻訳を英語でTranslationと言いますよね。このtrans-に移動する、通過する、といった意味合いがあるように、翻訳とはある言語から別の言語へ言葉を移動させる作業。しかし日本語訳というのは、英語からドイツ語などのように単語を置き換えるだけで明解に訳すことができるものではない。

例えば「I love you.」は「私はあなたを愛する」と直訳できるけれど、誰もそんなこと言う人はいないでしょ。こんな単純な言葉でも「好きだよ」とか「愛してる」など様々に訳せなければいけない。それほど表現力や日本語力が必要な作業なんです。

松岡さんの翻訳の場合、それを実に見事にしてらっしゃる。だから読み手がスーッと入れる。ご自分の中にきちんと言葉を通して、物語全体をしっかり把握し理解した上で伝えようとしているからこそ、雰囲気までもがクリアに響いてくるのだと思います。今回の朗読にあたっては、そんな「松岡さんを通したハリー・ポッターの世界」に入ることが僕にとってとても大事なことでした。ですから実際に松岡さんにお会いして、色々とお話を伺い大変参考になりましたね。

お会いする前は「マクゴナガル先生のような方だったら恐いな」と思っていたんですけど、そうしたらそうじゃなかった(笑)。例えるなら、『賢者の石』でハリーが9と3/4番線のプラットホームで戸惑うシーンで、優しく手助けてくれたロンのお母さん、を、細く美しくした感じ、かな(笑)。親切でしっかりしている、マドンナのような感じといったら近いだろうか。